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GH中の育児、夫への感染、薬の飲み忘れについて
りんごさん:(2017:5)
初めまして。私は性器ヘルペスをもっています。
ネットでこの病気を調べていくうちに、このサイトを知り相談させて頂きたくご連絡致しました。
7年前に当時の彼から初感染しました。その後、主人と出逢い結婚し昨年の夏に自然分娩で出産しました。しかし出産後、6日で性器ヘルペスが再発し、赤ちゃんにも感染したらと思うと不安で不安で毎日押し潰されそうになっていて、ストレスからか再発を繰り返してしまいました。現在は母乳もあげていますが抑制法を行い7ヶ月たち症状は安定しています。
日常生活で家族に感染を防ぐために再発してなくても洗濯物を分けたりトイレの便座をアルコールでふいたりしています。本当は子供とお風呂に入ることをすごく楽しみにしていたのですが9ヶ月たった今も怖くて私は洋服を着たまま子供を洗っています。
長くなってしまいましたが相談は、性器ヘルペスウイルスは無症状でも唾液や性器にウイルスがでてると知ったのですが、万が一私の使ったスプーン等を子供がなめてしまったりして口に感染したら、再発も口に症状がでるのでしょうか。口唇ヘルペスと同じように性器ヘルペスも子供に自然にうつってしまうのでしょうか。再発抑制法は終了後また再発すると思うのですが、頻度はある程度落ち着いてくれるのでしょうか。
質問ばかりで申し訳ございません。すごくこの病気になってしまったこと、今後の日常生活に悩んでいて、家族に申し訳なくて悲しいです。
長谷川:(2017.5)
りんごさんへ はじめまして。長谷川です。
赤ちゃんの育児に一生懸命努力されていて、お風呂まで洋服を着てされているというのは、すごいなーと思います。
ただ、現在の精神状態として、りんごさんはかなり気持ちが落ち込んでいらっしゃるようですね。
もともと心配性な気質もおありですか?
りんごさんの症状として毎回出るとすれば性器に出るのであれば、単純ヘルペスウイルスの2型であると考えられます。 これまでに口唇ヘルペスになられたことはありますか? 再発型の性器ヘルペスであれば、96%が単純ヘルペスウイルスの2型であり、産後に誘発型として出始めた場合でも、86%は2型であることが知られています1)。また、繰り返して起きている場合には、病巣は局所に限られています。したがって、りんごさんにヘルペスができたとしても性器に限局していて、児童虐待のようにお子さんの性器にそのウイルスを塗り付けない限りはお子さんには感染しません。なので、自然には感染しません。
再発抑制法は終了後また再発すると思うのですが、頻度はある程度落ち着いてくれるのでしょうか。 これは、休薬期間にどの程度再発してくるかを長い目で見ないとわかりませんが、お話の内容から推測すると、ご自分でもストレスが再発の誘引だと考えておられるようなので、何らかの不安感や、栄養・睡眠不足があると、再発は起きてくると思います。あまり再発しなかったころのご自分の体調や心の持ちようを思い題していただき、ganglion trigger説と呼ばれる、ご本人の免疫力の低下からくる再発を防げたら良いですね。 そういったお力になれるように、いくらでも相談に乗りますので、ご自身の体調コントロールの仕方などをお教えいただければと思います。 しつこいようですが、2型の再発なら、唾液などでは感染しませんよ。 また、お話できるのをお待ちしています。
1)川名尚:女性生殖器、森良一、川名尚編、ヘルペスウイルス感染症pp128、1987.東京.
りんごさん:(2017.5)
長谷川先生 お忙しい中、返信ありがとうございます。
ご相談にのって頂き、とても嬉しいです。ネットをみても、何が正しくて、どこまで気を付けて生活すればいいのか分からなく、ずっとずっと一人で悩んでおりました。気持ちが少し楽になりました。 妊娠してから、特に性器ヘルペスに関して神経質になってしまいました。先生のおっしゃるように血液検査で2型だとわかりました。1型はマイナスとでましたが、過去に感染していると病院では言われました。今まで口内炎はありますが、口唇ヘルペスの症状はでたことはありません。 私が特に心配なのは2型が性器ヘルペスとして主人や娘に感染してしまうことです。私自身、感染してからずっと再発を繰返しその度に苦しんだからです。何だか自分が汚く思ってしまい、いつも家族にうつさないかびくびくしていて、毎日落ち込んでいます。母親である私がこのウイルスを持っていることが、すごく申し訳なくて。 子供には自然にはうつらないと知り、少し安心できました。私の2型性器ヘルペスのウイルスは唾液からはでていないのですね。普段からあんまり顔の近くでも話したりしてはいけないかなと思い、とても気を付けていました。ヘルペスは感染力が高く親子で自然にうつるとよく目にするので、性器ヘルペスも唾液中にでてるのであれば簡単にうつってしまうのかと思うと怖くてたまりませんでした。 体調は産後でなかなか自分でコントロールできなくなり、夜も寝不足気味だと思います。しかしご飯だけはバランスを考えしっかり3食とっています。またネットでみたチョコレートやナッツ、コーヒー、紅茶、お酒等、再発の要因となるものは辞めました。ここ半年は再発の自覚症状はありません。 妊娠してから、今まで怖くて家の湯船も使っておらず毎晩シャワーのみです。もともとお風呂の椅子は使っていません。症状がなくても無症状でウイルスがでていたり、再発に気づくのが遅れたらと思うと、子供とお風呂に入れないです。自分の体を洗ったあとや、ふいたあとによく手を洗えば大丈夫でしょうか。目を離したすきに、お風呂の床に直接子供が座ってしまうこともあるかもしれません。お風呂の床や水滴も感染原因になりますか。本当は一緒に入りたいし、いつかプールとかでも遊びたいという気持ちはありますが、我慢しなければと考えていたところです。 また主人は軽度のアトピーです。この病気のことは話しておりますが、絶対に感染させてはいけないというプレッシャーもあります。抑制法はまだまだ続けてみます。
長谷川:(2017.5)
りんごさんへ こんにちは。
とてもお辛い気持ちで家族を守ろうとされているのが、よくわかります。
他者に不顕性感染でも感染させないというのが、抑制療法の利点です。
しかもここ半年出ていないのであれば、お風呂くらいは、赤ちゃんと一緒に入ってあげましょうよ。まだ、赤ちゃんだからわからないかもしれないけれども、人見知りするころには、母親と他者を識別するので、そのうち、赤ちゃんは何でパパは裸でお風呂に入って、ママはお洋服を着てお風呂に入るんだろうと疑問に思うのではないでしょうか? 育児行動にまで性器ヘルペスが邪魔するわけではないですよ。
ここ数年で急速に日本のヘルペスの治療も進み、それをしっかりと守って、りんごさんは、ご自分ができること以上に努力されています。それだけにかなり精神的に疲弊されているのだと思いますが、十分な治療効果が出ていますよね。これだけ悩んでいても、半年も再発していないのですから。
アシクロビル恐るべし。開発したエリオンさんという女性はノーベル章を取ったんですが、その価値があります。
自分を汚く思う気持ちもわかりますが、良ければ、うつされたときの出来事ことというか、恨みを私にぶつけてみてください。 その上で、本当にりんごさんに落ち度があったのか考えて見ましょうよ。 また、HPに相談のやり取りをアップしてもよろしいですか?ここの部分は困るというものは出しません。
これだけがんばっている人の体験はとても貴重だと思いますので。 また、メールいただけたら嬉しいです。
りんごさん:(2017.5)
長谷川先生
返信ありがとうございます。
もちろんHPに載せて頂いてかまいません。同じように悩んである方の参考になれば嬉しく思います。
抑制療法中は再発してないときは無症状でウイルスがでてないと思っても良いのでしょうか。いつウイルスがでているのかわからなくいつも緊張状態です。
日本なのでやはり、一緒にお風呂の問題すごく悩みます。私は本当に入りたいです。ママだけ服を着てるなんておかしいですよね。週末、主人が娘と楽しそうに入っていると羨ましくて、また同時に自分の現状が悔しくて悔しくて涙がでてきます。
そうですね、毎日睡眠不足と病気の心配でのストレスの中、半年でていないので本当にこの薬には感謝しております。
私の感染は約7.8年前になります。当時お付き合いしていた彼は昔1度性器ヘルペスにかかったそうですが、その後数年再発もなく、ヘルペスが再発するものという認識がなかったため、何も知らずに私に感染しました。
彼に知識があれば、せめて教えてくれれば防げたのにと今でも後悔しています。結婚の話しまででていたので油断していた私も悪かったです。結局別れましたが、私はそれから何度も何度も再発し、その度に知らなかった、そんな理由でこうやって一生悩むんだとショックを受けます。
数年後やっと全て受け入れてくれる主人に出会い結婚し、気をつけながら無事に妊娠、出産できたことは私は恵まれていると思います。新生児ヘルペスの恐ろしさは勉強したので知っています。症状がないと帝王切開はしないと言われてしまい、自然分娩でしたが出産後もすぐに再発しましたし、1ヶ月全然眠れずノイローゼ気味でした。この病気さえなければと幸せな時間だったはずなのにと正直今でも悔やんでいます。
この思いを主人や子供にしてほしくなく、日頃どこまで注意したらいいのか考えています。トイレは毎回便座をアルコール消毒だけでいいのでしょうか。
いつか娘も子供を産むときが来るかもしれないです。そんなとき、私の病気は妊娠中の方や赤ちゃんにうつると大変危険だと思うので、里帰りなんかもさせてあげれないのかなと、ずっと先の事まで心配しています。
少し不安が強すぎると自分でも分かっていますが、それでも心配です。
長谷川:(2017.5)
りんごさんへ 返信ありがとうございます。 りんごさんの体験は、多くの性器ヘルペスで悩む人のために参考になると思いますので、アップさせていただきますね。
「抑制寮法中は再発してないときは無症状でウイルスがでてないと思っても良いのでしょうか。いつウイルスがでているのかわからなくいつも緊張状態です。」
抑制療法の利点は、無症候性排泄を防げる点にあります。したがって、治療中は、ウイルスは出ていないと思ってください。今の緊張状態は、高いお薬代を払ってまじめに毎日内服しているあなたにとって全くの不必要な心配ですよ。
一緒のお風呂もかまいません。どうぞ、楽しくお風呂に入ってあげてください。
休薬中は、どの程度再発してくるかを長い目でみなければなりませんが、性器ヘルペスの再発では、病巣は性器に限局されますから、使った腰掛などをシャワーで流せば、赤ちゃんやお子さんが成長されてもうつることはありません。 ウイルスは、細菌と違って、単体で自然界で生息または増殖することはできません。人の細胞に特に粘膜から入り込んで、人の体の中で増殖するのです。ただし、ウイルス液は、ぬれたタオルなどの湿潤環境では、3時間ぐらいは死なないので、性器ヘルペスを発症しているときには、サウナなどでの濡れたタオルに無防備に腰掛けるのは危険です。
お風呂のお湯の中に、ごくわずかのウイルスが出たとしても、お湯は動いていますし、その時点で死んだり、まして、赤ちゃんの膣の中に入り込むようなことは無いので、安心してお風呂に入ってください。子宮内の羊水のような狭く栄養豊富な場所では、ウイルスは生き延びる可能性があるので、再発している人の場合は、出産時に帝王切開になります。 「私の感染は約7.8年前になります。当時お付き合いしていた彼は昔1度性器ヘルペスにかかったそうですが、その後数年再発もなく、ヘルペスが再発するものという認識がなかったため、何も知らずに私に感染しました。 彼に知識があれば、せめて教えてくれれば防げたのにと今でも後悔しています。結婚の話しまででていたので油断していた私も悪かったです。結局別れましたが、私はそれから何度も何度も再発し、その度に知らなかった、そんな理由でこうやって一生悩むんだとショックを受けます。」 そうだったんですねー。 もうこれは、事故としか言うほか無いですが、長くお付き合いしている彼だったとしたら、告知しておいてくれてもいいと悔しく思われるかもしれません。しかしながら、残念なことに、淋菌を除くほかの性感染症は、男性よりも女性に症状が出ることが多く、性器ヘルペスでも、男性よりは女性のほうが2倍の割合で症状が出ます。だとすると、前付き合っていた彼氏が、初発の症状があっても、無症状で再発していない可能性もあり、彼もわからなかったかもしれません。 男性で一度でも性器ヘルペスに掛かったことがある人は、せめて性行為のときにコンドームをつけるとかしてほしいですよね。
彼に知識が無かったことが一番残念ですし、りんごさんがその時点でヘルペスのことを詳しく知らなかったとしたら、やっぱり、事故。あなたに、何の落ち度もありません。世の中の人がどのくらい性器ヘルペスに関して知っているでしょうか?医療系の大学に入って、1コマくらい授業を受けるようなものでしょう。国家試験には出ますが、抑制療法の詳しいところまでは、出るかな?
なんで、同じようにセックスしているにもかかわらず、男性より女性に症状が出やすいのか、理不尽に思われるかも知れませんが、子供を産むという役割を持っている女性に長い人類の歴史の中で、新生児に感染症が起きないように人類が選択してきたのだと思われます。 そんな、人類の歴史のことよりも、うつされてしまったりんごさんにとっては、大問題なわけですが。
加えて言うと、女性でも性器ヘルペスにかかったとしても、再発しない人もいます。 その点が、この病気の意地悪さというか、人によっては、再発しなくて、人によっては再発を年に何回も繰り返すという残念なところです。ただ、出産に関して言えば、症状があることで、新生児ヘルペスを防げるわけですから、そういう点では、赤ちゃんを守ったという、性器ヘルペスにおける一番のリスクは回避できたといえます。
りんごさんは、赤ちゃんをしっかり守ったのです。加えて、抑制療法を選択されているので、ご主人もしっかり守っています。 「数年後やっと全て受け入れてくれる主人に出会い結婚し、気をつけながら無事に妊娠、出産できたことは私は恵まれていると思います。新生児ヘルペスの恐ろしさは勉強したので知っています。症状がないと帝王切開はしないと言われてしまい、自然分娩でしたが出産後もすぐに再発しましたし、1ヶ月全然眠れずノイローゼ気味でした。この病気さえなければと幸せな時間だったはずなのにと正直今でも悔やんでいます。 」 包容力のあるご主人に出会え、無事に出産できたこと、これは本当に良かったと思います。
私の過去の研究からも、性器ヘルペスの妊婦は、進んで帝王切開を受けたいと望んでいるので、下から産むことに対して、不安な日々を乗り越えられてきたかもしれません。産婦人科医としては出産で新生児ヘルペスが出なければ、医師としての責務はそこで果たしたわけですから、産後のことにまで配慮してくれている今の主治医は、とてもお優しい方だと思われます。 「この思いを主人や子供にしてほしくなく、日頃どこまで注意したらいいのか考えています。トイレは毎回便座をアルコール消毒だけでいいのでしょうか。」 それで十分です。 HPに生活用具に関するヘルペスウイルスの消毒効果の論文を載せてあると思いますので、アルコールがいかにヘルペスを完全に撃退するか見てみてください。すぐに死にます。拭いたアルコール綿にも残りません。 娘さんの里帰りまで考えておられるのですね。 りんごさんの性器とお孫さんを結ぶ経路は、今のやり方で、十分遮断できます。
りんごさんは、まだ20代です。これから、女性としてセクシャリティが開花され、男女の性の楽しみはもっと良いものになるはずです。
りんごさん:(2017.5)
長谷川先生
丁寧に本当にありがとうございます。
詳しく教えていただいて、安心しますし、とても元気が出ます。
抑制療法中はあまり気にせず過ごしても大丈夫なんですね。少しづつ昔みたいな生活に戻していければと思います。お風呂の湯船の中は大丈夫そうですね。
子供の体を洗うときや自分の体を洗ったあとはこまめに手を洗ったり気を付けます。
自覚症状がないときもプールはお湯ではないので、危険ですか。水着で椅子やプールサイド等に座るのは避けたほうが良さそうですか。
ぬれたタオル気を付けてみます。
当時私は性器ヘルペスのことを全然知らなかったです。彼はどうして言ってくれなかったのか、ましてや防ごうとしてくれなかったのか、悔しいですが、私も油断していたのがいけなかったですね。もう望んでも元の体は戻ってきません。今は自分が再発させないこと、そして症状が出たときの注意点をしっかり知っておくことが大事だと思っています。
女性の方が症状が出易いのですね。確かに私は何度も症状がでます。うつした彼は全然再発しなかったと言っていました。それによって気づけたわけですが、やはり再発しない人になりたいです。再発しない女性は体質なのでしょうか。何度も繰り返す私のような人は、何かを改善できれば再発が減るのでしょうか。
HP拝見させて頂きます。論文とても興味があります。
妊娠をきっかけ私が神経質になってしまい、主人とも性生活をしておりません。それどころか、シャワーを浴びるときも使い捨て手袋をしたり、自分の体になるべく触らないようにしています。特に主人はアトピーなので全身に広がったりしたら、仕事もできなくなるでしょうし、子供とも思いっきり触れられなくなってしまったりすると思うと申し訳なくて怖いです。妊娠前は子供二人ほしいと思っていましたが、正直不安です。
とにかく今は抑制法を続けてみるしかありませんね。
トイレの消毒はアルコールで続けていこうと思います。
長谷川:(2017.6)
りんごさんへ そろそろプールの時期ですね。
プールの水はお湯と同等に流動しているので、ほかの人に感染させることはありません。
水着で椅子やプールサイド等に座るのは避けたほうが良いというのは、りんごさんがほかの人に感染させるという意味ですか?
よく、サウナにべったり座るのは良くないというのは、感染者がべったり座っていたとして、ウイルス液が残っていると濡れた状態だから感染力があるということですけど、私が、過去に300人くらいの人の相談をしていたときにも、サウナでうつったという自覚がある人は一人もいませんでした。たいていは、性交による粘膜の接触でした。
だからまあ、うつらないといって良いくらいのものですが、常識または躾として、お風呂とかプールとかでもほかの人が座っていた椅子に座るときはシャワーとかで流してからのほうが良いと思います。
こういう研究をしていると余計に思うのかもしれませんが、濡れた椅子やサウナではまず、陰部は直接つけてないですね。
子どもが幼児期にお友達同士で頭をくっつけること(頭ジラミ)、キスをする(口唇ヘルペス、インフルエンザウイルスなどなど)ことなどもしてはいけないこととして、絵を描いたりして教えました。
りんごさんにうつした彼は確かに非常識な部分もあると思います。再発が無かったとしたら、自覚症状はありませんから、病院に行くこともなく、無症候性排泄というものがあることも知らず(?)楽観的に考えていたんでしょうね。感染源となったパートナーの70%が無症候、または非認識であるとも言われています1)2)。りんごさんの悔しさや、後悔の念は痛いほどわかります。
再発しない人になりたいですよね。女性でも再発しない人もいるし、年に1-2回の人から月に2-3回という人までとてもばらつきが大きいです。たぶん今までうかがっていなかったと思うのですが、現在のご主人と結婚するまではどのくらいの頻度で再発していましたか?また、結婚してからはどのくらいで再発していましたか?それによっても今後の予測ができると思います。
一応、1年間抑制療法を続けたら、いったん休薬してその後の再発頻度をチェックします。抑制療法を続けるにはお金もかかるし、毎月病院に行くのが大変ではありますが、現代の医療では、再発の頻度を下げ、また、パートナーへの感染のリスクを下げるという点で、最も効果があると思います。
りんごさんは、妊娠前にどのくらいのペースで再発していたのでしょうか?ご主人と結婚する前後、妊娠中についても教えてもらえると予測の材料になるので、ありがたいです。
再発の引き金となるものにはskin trigger説とganglion trigger説があります。性器ヘルペスであれば、月経(による皮膚のかぶれ)、性交など皮膚への直接的な刺激、免疫力の低下(睡眠不足、過労、産褥期など、心身ともの)によるものが考えられます。出産後の人で、それまで、全く性器ヘルペスが出ていなかったのに、出てしまい、とても悩んでいた方もいらっしゃいました。そういう意味ではゆったりとした気持ちで、育児が楽になれば、前にもどる、もしかしたら、再発回数が減ると希望的を抱くことはできませんか?
ご主人との性生活が無いのは、ご主人は平気なんでしょうか?
もともと抑制療法は、再発回数を減らし、無症候性排泄を減らす効果をきたしたものであり、抑制療法中で、かつ、コンドームをつければ、ご主人への感染はなんの心配もありません。
1)Ronny JF,et al.:Acquition of genitalnherpes from an asymptomatic sexual partner.N.Engl.J.Med.,314:1561-1564,1986. 2)Corer JF,et al.:the current trend in genital herpes.Progress in prevention.Sex.Transm.Dis.,21:S38,1994.
りんごさん:(2017.6)
長谷川先生
お忙しい中、返信ありがとうございます。
プールの中は大丈夫なのですね。はい、私は感染者なのでプール等は遠慮したほうがいいのかと思っていました。自覚症状がないときでも、無症状にウイルスがでていた場合、プールサイド等にすわったり、陰部から垂れた水滴で椅子や床にウイルスをつけてしまうのかと疑問でした。
300人も相談を受けていらっしゃるんですね。心強いです。
約8年前に感染してから、5年は約2ヶ月に1度再発を繰り返しました。薬を飲むときもありましたが、なかなかその度に病院にも行けず自然治癒を待つも時も多々ありました。3年前に結婚を機に転職してから、半年に1度程で、2年前から出産までの1年は再発はありませんでした。出産後に多発しました。
妊娠中再発がなかったのが不思議ですが、私の場合、仕事が忙しくなると再発していました。
主人は私が性器ヘルペスの事をすごく気にしているのを知っているので、子供を作るとき以外は性生活は誘ってきません。私は前の彼に無症状でうつされてしまったので、トラウマみたいなのがあり、それからうつしてしまうのではないかと恐くなってしまい出来なくなってしまいました。主人にも子供にも申し訳ない気持ちでいっぱいです。一生このままなのかと毎日考えているので、何か希望を持たないといけないと思っています。
薬を飲んでる時はほぼ大丈夫なんですね。次は二人目を作るときかなと思いますが、その時には薬は飲めないだろうし、諦めたほうが良いかなと今から悩んでいます。
りんごさん:(2017.7)
長谷川先生 お忙しい中、度々すみません。 もう1つ教えて頂きたいことがあります。
性器ヘルペス感染者ということを、子供がいる方は将来子供が大きくなったときに伝えているのでしょうか。
どのタイミングで伝えてらいいものなのか、考えてしまいます。性器ヘルペスの性行為以外での家庭内感染の例は時々あるものでしょうか。
母親が治らない性病で、自分にも感染する恐れがあるなんてショックですよね。でも娘が妊娠したら伝えるべきだと思いますし、それよりも恋人ができる高校生くらいで伝えるべきかなとも思います。
もし娘にも感染していて、ある日発症して私に言えなくて一人で悩んだりする日がくると思うと、最近眠れなくなってしまいます。私も感染源は特定できていましたが、まだ学生の頃で歩行困難になっても病気のことを親にも言えず、一人で耐えていました。
私は考えすぎでしょうか。最近友達と会うと必ず二人目の話題になります。病気がなかったら子供はもう1人ほしいです。まだ自信がなく、うちは1人かなと言ってしまいます。本当は我が子は可愛くて可愛くて仕方ないですし、兄弟を作りたいです。でも主人にうつすのも怖く、妊娠中に胎内感染して赤ちゃんに感染するのも怖いです。妊娠中再発したらと考えると薬の内服ができないのも、感染を広げてしまいそうで心配です。 また症状がないと絶対に帝王切開できないのでしょうか。一人目の際、産後からずっとヘルペスのことでノイローゼが続いているので、精神的に自然分娩は厳しいかなと思っています。
本当に何度も申し訳ありません。先生にしか相談できなく、また質問してしまいました。前に唾液からの感染は心配しなくて良いと教えて頂いてから、食事の際、気持ちが楽に前向きになりました。ありがとうございます。主人とまだ話しあうとこが出来ていませんが、週末にでもゆっくり話してみようと思っております。
長谷川:(2017.7)
りんごさんへ このメールで、りんごさんの悩みの深さを改めて痛感しました。 ご自分が性器ヘルペスであることをお子さんに伝える必要など無いですし、伝えている方も知りません。なぜなら、お子さんとりんごさんのヘルペスは粘膜を介して伝達するということは無いからです。性器ヘルペスの家庭内感染は、今の日本の衛生環境から言っても、起きるとすれば、夫婦のみです。
もしもお子さんに性器ヘルペスがうつるとすれば、、性的虐待などが考えられます。 お子さんに性教育や、衛生教育をするのは当然だと思いますが、性器ヘルペスのことまで言う必要は無いと思います。 私の例で言うと、羞恥心が無い幼少期のころから、わかりやすい男の子の体、女の子の体、嫌なことは嫌と言う人との接し方、妊娠の本などを家に置いておき、子どもが関心を示せば読ませたり、解説したりしてきました。幼稚園でもキスはしない、するとしたらお互い口に手をあてて(笑)とか、頭ジラミ予防には頭をこすり合わせないなど言葉に出して教えてきました。でもそれは、基本的な保健衛生や自分の体を大切にする、というような意味で、青年期移行、子どもから質問があれば、専門的なことは教えています。 性器ヘルペスは、初感染のみ胎内感染する可能性はありますが、国内では報告例はありません。ヘルペスウイルスは再発であれば、血液にはウイルスそのものは出ないからです。ですので、胎盤にも行きません。
性器ヘルペスの母子感染は、産道感染です。ですから、胎児期に感染して奇形児が生まれるなどということもありません。 帝王切開は、よく主治医と相談して、希望されれば、かなうと思いますよ。ただし、破水してから4時間経つと新生児ヘルペスの発症は経膣分娩よりも高くなります。
一人目は、主治医の方針に従って、妊娠後期に抑制療法をされていたと記憶しています。それは、スタンダードな治療法ですし、主治医は信頼できる方だと思いますよ。
眠れなくなるまで悩んでいたなんて(涙)。
そんなときは、メールください。ご主人とのお話し合い、上手くいくといいですね。
りんごさん:(2017.7)
長谷川先生
返信ありがとうございます。私の相談の為に、お時間を作って頂きとても感謝しております。ありがとうございます。
結婚後に急に再発が落ち着いたのは、主人と生活するようになり、仕事も変え、睡眠や食生活等も気を付けるようになったからかもしれません。
抑制療法を行っていたら、今の私みたいに過度に心配しなくても良いのですね。先生がおっしゃるように、症状が無くてもウイルスがでているのではないかと思うこと、主人がカポジになってしまったら、何度も再発に苦しむと思います。仕事にも支障がでると思いますし、娘とも思いっきりじゃれあったり出来なくなってしまうのではないかと考えるとなかなか勇気が出ませんでした。
それでは治療している意味がないですよね。抑制法をし、コンドームをつければほぼ安心していいこと、主人と話し合ってみたいと思います。
完治はしないのですから、治療をしていることで心を落ち着かせなくてはと思いました。
今後の生活がとてつもなく不安なんです。私がウイルスを持っているばかりに、それを広めてしまうのではないかと。どう、向き合ってどう生きていけばいいのか、大袈裟かもしれませんが毎日不安です。再発が怖いです。治らない性感染症を持っていることで正直、女性としても母としても自信がなくなってしまいました。。。子供が熱を出せば、もしかしてヘルペスが原因かと不安で押し潰されそうになります。
ぎりぎりまで内服をしても大丈夫と知り少し安心しました。二人目を勇気がでたら、内服しながら、頑張ってみたいと思いました。不安に思うことを沢山書いてしまい申し訳ございません。
りんごさん:(2017.7)
長谷川先生
返信ありがとうございます。
こんなに何度も答えて頂き、本当に感謝しております。
口唇ヘルペスと違い、性器ヘルペスは基本的には家庭内感染は起きにくいのですね。同じヘルペスウィルスで感染力の強さを考えると、いつ便座などから感染が起こってしまってもおかしくないのかと思いました。
もちろん使用後は毎回アルコールで拭いていますが、それでも拭き残しがあったらと。
娘に伝えなくても良いと思うと気持ちが楽になります。黙っているのが心苦しい気持ちもありますが、すごくショックを受けてしまうことには間違いないと思います。
遊んでた訳ではないですが、病名から、やはりそう思われても仕方ないのかなとか悩んでおりました。
先生の教育法、素敵だと思いました。私も子供に教えてあげたいです。自分の体を大切にする子になってほしいです。私も小さい頃、母に頭をくっつけてはいけない、帽子の貸し借りはダメと言われてきたのを思い出しました。
妊娠期の胎内感染は国内では報告がないということに驚きました。そして、再発では血液にウィルスがいかないのですね。初めて知りました。ありがとうございます。
破水して4時間たつと危険が増すこと、怖いですね。知りませんでした。前回の時は、陣痛中に破水後、一時間程で出産しました。ただ破水が先に来てしまったら、、、自然分娩の場合は、その後ながい陣痛の間に感染してしまうこともありますよね?病変がなくてもウィルスがでていたら危険ですよね。
自然分娩予定でも帝王切開予定でも、病変がある時に破水してしまった場合が一番怖いですね。その場合はすぐ帝王切開になるのでしょうか。
主人とも話し合ってみます。抑制法を終えたあと様子をみてみます。抑制後終了後だと、どうしても主人への感染を考えて性行為の勇気がでなかったら、人工受精等も良いのかなと思っております。
先生の優しいお言葉に救われます。
りんごさん:(2017.10)
長谷川先生
お久しぶりです。
その後、抑制法を続けています。子供は1歳2ヶ月になりました。
あれから前向きに頑張ろうという気持ちと不安な気持ちで毎日自分の中で格闘しています。
また不安に思うことが出てきてしまいご連絡してしまいました。お忙しいのにすいません。
抑制療法をしてもうじき1年になります。しかし先日、再発かな?という痛み、違和感がありました。水泡はできなかったみたいですが、次の日から薬を1日2錠、5日間続けてました。痛み自体はは2日程で消えました。
前には唾液からの感染はしないと伺っておりました。
しかしよく思い起こしてみると、8年前に感染した当時の彼とはオーラルセックスもしておりました。そうなるとやはり私の口にも感染しているのかな?と疑問です。
口唇ヘルペスは経験がないですが、たまに口内炎はできます。もしかしたら、それは2型のウイルスが口や唾液からでているのかな?と思いました。オーラルセックスによって、私は陰部だけでなくやはり口にも感染している可能性は高いですよね?
今は子供が口に触ってしまったら手を洗うことや、口内炎ができたらマスクをする、食事後には手を洗うなど気を付けています。今は食器もわけて洗っていますが、食洗機に一緒に入れても大丈夫なんでしょうか?
何度も質問をしてしまい、すいません。なんだかやはり病気のことで鬱気味です。子供が可愛くて仕方ないのですが、感染してしまったらこの子の将来を奪ってしまうのではないかと怖くて育児への自信が持てません。
お時間があるときにまた教えて頂けたら嬉しいです。
長谷川:(2018.10)
りんごさんへ
そうですか、もうそんなになるんですね。
oral sexがあったというのは、お相手の方からりんごさんの性器にですか?また、ディープキスなどもありましたか?
いずれにせよ、抑制療法をされているので、たとえあったとしても、ウイルスが排泄されるということは、症状がない限り、ないです!口唇ヘルペスでⅡ型のというのはほとんどないのです。口唇ヘルペスの10例中10例がⅠ型であるという報告があります。(川名尚、ヘルペスウイルス感染症、メディカルトリビューン、1987)
実は、今の妊婦さんは、50%以上Ⅰ型の抗体を持っています。ほとんどは幼少期に感染したものでしょうけれど、現代女性の50歳になると84.3%の人がⅠまたはⅡ型のHSVの抗体を持っています。
今は、離乳食を口で噛んで子どもに食べさせるということはなくなったので、口唇ヘルペス(Ⅰ型)は、減ってきていますが、年齢を重ねるにつれて抗体保有率はあがっているんです。そういう現状があるということを知っておかれると、たとえ、ご自分やお子さんがHSVⅠ型の既感染者だとしても、みんな持っているだ、とは思えませんか?
食洗機は一緒でいいです。水で流しただけでもウイルスは流れてしまいますので。まして洗剤が入れば死にますし、完璧を求めるなら、しっかり乾燥させれば、完全に感染性はなくなります。
りんごさん:(2017.10)
長谷川先生
返信ありがとうございます。
オーラルセックスはお互いあったので、相手の性器から2型ヘルペスが私の口にも感染しているのではないか?と思ったのです。
性器には2型が感染したので、そうなると当然口にも感染していても不思議ではないと思いました。
1型なら正直あまり心配はないのかもしれません。そして、親が気を付けても他から感染する機会が沢山あると思います。私は2型のウイルスをもっているので、本当に心配で憂うつです。
抑制療法をしていても、ここ最近水泡が出来るまではいかないのですが、左足の付け根が1日中痛くなったり、チクチクした前兆?のような感じが多々あります。そういうときは、特に気を付けていますが、調子が悪いとき口からも2型ウイルスがでていたらと思うと。。。血液検査では部位までは特定できないと思うので、性器だけにとどまっていないのか不安です。
とにかく毎日手洗いばかりしている気がします。食洗機は一緒でも大丈夫だと、知り安心しました。
主治医にもなかなか聞けないことが多く、連絡してしまいました。りんご
りんごさん:(2018.5)
長谷川先生
お世話になっております。以前先生に性器ヘルペスの事で相談にのって頂いたりんごです。ありがとうございました。
またわからないことがあり、相談にのって頂けたらと思いご連絡致しました。抑制法を始めて1年半になりました。症状は落ち着いており、子供と公園に行ったり少しずつ普通の生活ができるようになってきています。
しかし昨日初めて薬を飲むのを忘れてしまいました。本日気がつきましたが、その場合は念のため2錠飲んだ方が良いのでしょうか?
継続が途切れてしまったことにより、1年半やりましたが治療はまた今日から1日目とカウントしてほうがいいのでしょうか?かかりつけの病院がしばらくGWの為お休みでどうしたらいいのか悩んでいます。
またもうひとつ、妊娠の件ですが以前先生は破水して4時間たつと経膣分娩よりも新生児ヘルペスの感染率が高くなると教えて頂いたのですが、それは症状が出ていないときでも、破水して4時間たつと危険がでるのでしょうか?子供が好きなので、また妊娠したい気持ちもありますが、出産の時うつしてしまったら、また産後再発すると思うと怖くて諦めようという気持ちもあり、どちらにしてもなかなか前向きに考えられません。色々勉強して、諦めるにしても1人子供を授かれた事に感謝して前向きに生活できたらなと思います。
お忙しいとは思いますが、お時間ができた際に、また教えて頂いけたらと思います。宜しくお願い致します。
長谷川:(2018.5)
りんごさんへ
抑制療法中に一日薬を飲むのを忘れてしまったのですね。 私が調査している抑制療法の方でも、時々忘れるという方が何人もおられますが、それでも病変からDNAは出てきてませんでした。翌日に2錠飲む必要はないと思います。
抑制療法の休薬は半年ですから、1日目とカウントする必要はないです。
GWの為に病院がお休みなのですね。月曜日まで、等間隔に薬を飲むのがいいと思います。
破水と帝王切開の話で余計に心配させたみたいですね。
36週からは抑制療法を薦められると思いますので、破水していてもウイルスは抑制されていると考えられます。
予定日前に、予定帝王切開を希望されれば、大丈夫だと思います。出産間近になれば、医師の判断に任せるのが良いと思います。
再発の性器ヘルペスの方で、予期せぬ新生児ヘルペスは今の医療では起きようがありません。 安心してください。